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印刷用紙に関する疑問を解消!【用紙サイズ編】

印刷用紙に関する疑問を解消!【用紙サイズ編】

POINT

・A列は国際規格、B列は日本独自のJIS規格である。

・用紙のサイズは白銀比の長方形で、古来から日本人が美しいと感じる比率になっている。

・印刷会社は合理性を考慮して「原紙」と呼ばれる大きな紙を用いて印刷を行っている。

印刷会社の見積りを確認する際、「四六判って何?」「A判…?」と疑問に思われたことがある方も多いのではないでしょうか。これは用紙のサイズに関係してくる事柄になります。また普段の生活で何気なく目にしたことがあるコピー用紙やノート、クリアファイルにもある「A」や「B」の表記も用紙のサイズに関わることです。そこで今回は【用紙サイズ】についてご説明させて頂きたいと思います。「A4とB4だと、どっちが大きいの?」といった素朴な疑問もすっきり解ける内容となっています。

用紙サイズ「A」「B」の成り立ち

オフィスにあるコピー用紙でよくA4やB5という表記を目にすると思います。この「A」と「B」は、用紙寸法としてJIS規格で定められており、A列は国際規格、B列は日本独自の規格となります。

A列は19世紀末に物理学者オズワルド氏によって提案されたドイツの規格で、そのサイズを日本や各国が採用したものです。面積が1㎡のルート長方形をA0とし、現在では国際規格サイズとなっています。

B列は日本で江戸時代に使われていた「美濃判」の寸法が元となっている日本独自の規格です。こちらは面積が1.5㎡のルート長方形をB0 とし、日本のほかにアジアの一部で採用されている規格になります。国際規格にもB判がありますが、それとは異なります。

用紙の仕上がりサイズ

仕上がりサイズはJIS規格によってA列とB列それぞれを定めています。A・Bに続く数字が一つ増えると、前の数字の半分の大きさになります。

用紙サイズの比率は「白銀比」と呼ばれる美しい比率

用紙サイズのA列とB列とも、縦横の比率が「白銀比」と呼ばれるルート長方形になっており、その比率は、1:√2となります。規格サイズの用紙の長辺を何度半分に折っても仕上がる長方形は1:√2の比率になり、同じ絵柄を複数大量生産する印刷会社にとっては無駄がなくとても効率が良いのです。
また、この「白銀比」は、現存する世界最古の木造建築物である法隆寺の金堂や五重塔、銀閣寺、見返り美人図などで古くから用いられていることから、我が国にとって非常に馴染みがあり、「日本人が美しいと感じる比率(バランス)」と言われています。

コピー機と印刷会社との印刷方法の違い

「AとBのサイズの違いは理解したけど、よく印刷見積に書かれている『四六判』とか『A判』については解決されない」とお思いの方もいらっしゃるかと思います。それをご説明するには印刷会社の印刷方法をざっくりと知っておく必要があります。

例えば、A4の告知リーフを1,000人分用意するとしましょう。

<オフィスにあるコピー機の場合>

A4用紙1,000枚をコピー機にセットして印刷します。

<印刷会社の場合>

大きい用紙に告知リーフの絵柄を複数配置して一気に印刷し、その後にA4サイズに断裁していきます。印刷会社がこうした方法をとるのは、大量に印刷を行う際、最も効率的で最もコストを抑えることができるからなんです。

さて、この時の大きい用紙は「原紙」と呼ばれています。

次はこの「原紙」について詳しくみていきましょう。

用紙の原紙サイズ(原紙寸法)

前述したように、原紙とは「同一の絵柄を複数並べて印刷するための大きい用紙」のことを差します。JIS規格では、A列本判、B列本判、四六判、菊判、ハトロン判の5種類について「紙の原紙寸法」と定めています。

<A列の原紙>

A列本判【通称:A判(えーばん)】

サイズ:625×880mm

A1サイズ(594×841mm)が印刷できるようにそれより大きいサイズに定めています。主にA列の印刷物を作成する時に用います。オフセット印刷では、輪転機でも枚葉機でもこのサイズの用紙を取り揃えています。

 

菊判(きくばん)

サイズ:636×939mm(A判より少し大きい)

明治時代、新聞用紙に使用する目的で、日本がアメリカから輸入した紙のサイズです。菊判の名前の由来は、輸入紙の商標がダリアの花であり、ダリアは菊に似ていること、この紙が新聞に使用されており、新聞の「聞」の字は「きく」と読むこと、菊は皇室紋(菊花紋章)であることなどとされています。菊判はA判よりひと回り大きいため、A判の代わりに利用されることも良くあります。 オフセット印刷では、枚葉機で使用されるサイズになります。

<B列原紙>

B列本判【通称:B判(びーばん)】

サイズ:765×1085mm

B判は日本独自の規格で、B1サイズ(728×1030mm)を印刷できるようにそれより大きいサイズに定めています。主にB列の印刷物を作成する時に用います。オフセット印刷では、輪転機でも枚葉機でもこのサイズの用紙を取り揃えています。

四六判(しろくばん)

サイズ:788×1,091mm(B判より少し大きい)

イギリスの紙の規格である「クラウン判」が元になっており、明治時代にイギリスから輸入されました。日本で定着していた美濃判の約8倍の大きさに当たるため、大八ツ判として好まれました。この紙を4×8で断裁すると、出版物での四六判(4寸2分x6寸2分=128x188mm)を作りやすい原紙であることから「四六判」と呼ばれるようになりました。オフセット印刷では、枚葉機で使用されるサイズになります。

<その他の原紙>

ハトロン判

サイズ:900×1,200mm 名称の由来はドイツ語の「Patronenpapier パトローネンパピァー(弾丸の薬莢を包む紙)」といわれています。昔は一般包装紙や封筒などで使われてきましたが、現在は包装紙などで使用されています。

主な原紙サイズの面積

まとめ

コピー用紙などで「A」や「B」とあるのは何故か?印刷会社の見積書にある「四六判」や「A判」とは何か?ご理解いただけたでしょうか。

印刷はコピー機のように1枚1枚印刷するのではなく、原紙に同じ絵柄を並べて一度に印刷します。その際に用紙の無駄が少ないように適切な原紙を選んでいます。弊社ではお客様のご要望に合わせて適切な用紙サイズをご提案させて頂いております。印刷でお困りの事があれば、お気軽にご相談くださいませ。

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